不便と便利
銀の匙(中勘助)の中にこのような一文があります。
「すぐに役立つことはすぐに役立たなくなる」
何となくこの意味がわかってきたような気がします。
すぐに役立つ・・・例えば駅前で配っている広告入りティッシュ
ちょうど鼻をかみたい時には、これほど簡単ですぐに役立つものはありません。
使ったあとはカバンにしまっておけばよいだけです。
けれど、カバンにしまっておいたテッシュはバラバラになってしまいがち、
そして、自分にとってあまり関係ない広告をカバンにしまっておくことの抵抗。
よく考えると、広告を出しているその商品やそのまわりはその分だけコストが上乗せされて、
いつの間にか無駄なお金を使っている。。。
結局、いっとき役立つと思っていたことが実はそうでもないのかもということ。
また、スマホもすぐに役立つものの代表です。
なにかを調べたり、目当ての店を探したり、天気を見たり、
予約したり、誰かに連絡したり、自慢したり、、、
おそらくスマホがなかった時代に1日かかっていたことが、
1時間以下でできるぐらいの効率なのではないかと思われます。
でも、あまった23時間がなにかしあわせを与えてくれたのか?
人間というものは、無駄であろうが不合理であろうが、
いくつもの自分で決めた経験を重ねることで、
肉体的にも精神的にも活性化されて幸福感を味わえるのかもしれません。
不便な生活をおくることで、便利な生活では味わえない自分の中の対話がまた嬉しくなるものです。
「ああ、まったくなあ、なんとかならんもんかなあ・・・」
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